
エレベーター点検用はしごをめぐる事件
韓国特許法院は2026年7月8日、2025Heo10577事件の審決取消請求を不適法として却下しました。対象は、2024年1月24日に登録された第2630862号特許「エレベーター点検用はしご」の請求項1です。被告製品が技術的範囲に属するかを改めて判断した判決ではありません。
壁面に固定するフレーム、回動する離隔用フレーム、はしごフレームを組み合わせた構造でした。係止溝と突起、斜めに延びる長孔とヒンジ軸の関係により、壁側へ折り畳む状態と壁から離して使用する状態を切り替えます。

積極的権利範囲確認審判の経緯
特許権者は2025年1月6日、特許審判院に積極的権利範囲確認審判を請求しました。事件番号は2025Dang36で、確認対象発明の説明書と図面は同年9月2日に補正されています。
特許権者は、特定したはしごが請求項の必須構成をすべて備えると主張しました。ただし、これは当事者の主張です。審判院は請求項1が先行技術と実質的に同一で新規性を欠くとして、確認請求を認めませんでした。


別件の無効判断が確定
2025年6月21日に請求された別件の無効審判、2025Dang1806事件では、同年9月24日、新規性・進歩性の欠如を理由として請求項1を無効とする審決が出されました。
その取消訴訟である2025Heo10578事件の請求は2026年5月13日に棄却され、判決と無効審決が確定しました。無効事件は権利範囲確認事件とは別の手続であり、同一訴訟の前審に当たるものではありません。
存在する権利が確認手続の前提
無効が確定すると、請求項1に係る特許権は初めから存在しなかったものと扱われます。権利範囲確認は現存する権利を前提とするため、その範囲の確認を求める利益は失われます。
法院は、存在しなかったものとされる権利について実体判断した審決が違法となり得る点にも言及しました。しかし、そのことだけで無効確定後に審決の取消しを求める訴えの利益が生じるわけではありません。
「却下」と「棄却」を区別する
本件の結論は訴えの適法性に関する却下です。はしごの各部材を再度対比し、非属否を実体的に確定した判断として説明するのは適切ではありません。
また、無効確定の対象は請求項1です。本判決から、他の請求項の効力や損害賠償請求の成否まで一律に導くことはできません。
並行手続で確認すべき事項
製品と請求項の対比に加え、どの請求項が争われているか、各手続の進行状況、無効判断の確定時点を把握する必要があります。技術的な争点が残っていても、求める救済の前提が失われる場合があります。
権利範囲をめぐる訴訟を続ける際は、実体面の主張と訴えの利益を併せて再検討することが実務上重要です。掲載図は元の技術的背景を示すもので、判決の手続的な結論を変更するものではありません。
原図の表記と形状を保持しています。事件の事実関係と裁判所の判断は本文で説明しています。
