
水槽の紛争と手続上の却下
韓国特許法院2025年7月17日判決、2025Heo10277事件は、貯水用水槽及びこれを用いた下水迂回工法の特許第2031735号を扱いました。管路補修中に地上へ迂回させた下水を受け、下流の管路へ戻す技術です。
特許権者らは清渓川の管路工事に設置された装置について、請求項1・2の積極的権利範囲確認を求めました。審判院は2025年1月14日、確認対象発明の特定が不十分として手続上却下しました。取消訴訟では、審判を進められるかという要件と、実際に請求項の範囲に属するかという問題を分ける必要がありました。
比較可能な程度の特定が必要
争点となった表現は、特許の開放突出部と確認対象の開放延長部でした。延長部分が本体と一体か別体か、どのように上方へ突出するかが問題とされました。
法院は説明書と図面を併せて判断しました。他の対象と区別でき、特許と比較できるなら、一部の表現が不明確というだけで特定不足にはなりません。請求項1は本体上面の一部のみが開いた構造に限定されておらず、明細書の一実施形態を当然に読み込んで狭めることはできません。
写真の周辺情報も構造を示す
特許の図6・7は本体と開放突出部の関係を示します。確認対象では写真7・8、作業者の出入口、歩行者通路、運搬用リングが撮影方向と上部構造を把握する手掛かりとなりました。
法院は確認対象を本体全体の上方へ延びる直方体構造と理解し、請求項との対比に足りるとしました。十分に特定されたことは審理対象が明確という意味であり、技術の同一性や特許範囲への包含を意味しません。


試験とは別に生産行為が成立し得る
相手方は安全確認の通水試験だけを行い、その後水槽を廃棄したと主張しました。しかし韓国特許法上、物の生産、使用、譲渡等は独立した実施行為です。販売していなくても製作・設置の評価は必要です。
工事契約は2023年5月30日、設置は同年12月9日、通水試験は12月14日から2024年1月15日まで行われました。法院は製作・設置を生産と評価し、試験も締結済みの営利的な工事契約の履行に伴うため、本件では研究・試験の例外に当たらないとしました。研究開発上のすべての試験へ一般化できる判断ではありません。
廃棄しても確認の利益が残る場合
提出証拠だけでは、廃棄して今後一切実施しないと断定できませんでした。後の廃棄を仮定しても過去の実施があり、将来の再実施も排除できないため、権利範囲の判断を受ける利益は失われないとしました。
法院は手続上の却下審決を取り消しました。請求対象は請求項1・2ですが、特定性の検討は主として請求項1との対比によっています。両請求項の範囲に実際に属することや損害賠償責任を最終確定した判決ではありません。
各段階に対応する証拠を準備する
権利者は争点となる構造を説明書に具体化し、写真の方向と部品位置を対応させます。本件の通路や運搬リングのように、周辺情報が技術構造の理解に役立つこともあります。
相手方も製作・設置時期、試験目的、事業契約との関係、再実施の可能性を資料で説明する必要があります。試験品だった、現存しないという説明だけでは足りません。対象の特定、過去の行為、技術的な範囲比較は別段階の問題です。
原図の表記と形状を保持しています。内容は本文で説明しています。
