
契約上の5%と発明者の補償率は別
韓国特許法院2026年9月10日判決(2025Na10216)は、BNR17菌株に関する職務発明補償を扱いました。Bioneerは従業員の発明に関する権利を承継し、AceBiomeとの技術移転契約により契約製品売上高の5%を受領していました。ただし、その対価には特許だけでなく、菌株自体、商標、ノウハウ、実験資料の利用も含まれていました。
会社間の技術料率をそのまま発明者への補償率とすることはできません。法院は契約内容と実際の利用、包装上のBNR17・AceBiome表示などを検討しました。複数特許が契約に列挙されていても、対象製品で実施された特許は本件特許のみである点に争いはありませんでした。

40・40・10・10の配分は本件の証拠に基づく
法院は技術料の40%を特許実施料、40%を菌株自体の使用対価、10%を商標、10%をノウハウ・実験資料の対価としました。特許権の実施許諾と、提供された具体的菌株の使用・収益は異なります。量産可能な菌株の供給や、製造・機能性原料の行政手続に用いる技術資料にも価値がありました。
この比率は一般的な基準ではありません。また、特許の図4は培養時間に伴う菌数・グルコース・多糖類の変化、図5・6は対照群とBNR17投与群の糞便量・糞便中多糖類を示します。これらは発明の技術内容を説明する図であり、対価配分を示す図ではありません。



存続期間満了までの収益を合理的に見積もる
既受領分に加え、2027年5月14日の特許満了まで合理的に見込まれる技術料も考慮しました。売上が増え続けるという主張も、前年の減少率がそのまま続くという主張も採用せず、直近の2026年第1四半期の技術料を基に将来分を現在価値に換算しました。
技術料総額は78,137,977,755ウォン、その40%に当たる31,255,191,102ウォンが、補償算定上の使用者の利益とされました。
発明者全体の貢献と共同発明者間の寄与
会社の蓄積研究、人員・設備、量産・事業化投資とリスクを考慮し、発明者の貢献度は10%とされました。他方、原告が研究方向と具体的実験計画を主導したことから、共同発明者間の原告の寄与率は50%と認定されました。他の発明者による実験、指導、菌株選別の貢献も認められています。
31,255,191,102ウォンに10%、50%を順に乗じた補償額は1,562,759,555ウォンです。法院は一審判決を変更し、この金額と遅延損害金の支払を命じ、残余の請求を棄却しました。
時効と補償手続も確認する
権利承継時期により旧韓国特許法が適用されました。会社は10年経過による時効を主張しましたが、勤務規程上、対象・金額を決める審議委員会が開催されておらず、請求権行使に法律上の障害があったとされました。古い発明なら常に請求可能という意味ではありません。
契約では権利・物・情報の対価と利用実態を区別し、研究者は着想や実験設計を、会社は研究蓄積と事業化投資を記録します。補償規程の審議手続を実際に運用し、その経過を残すことも重要です。
原図の表記と形状を保持しています。事件の事実関係と裁判所の判断は本文で説明しています。
