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中南米市場への進出を検討する企業にとって、メキシコは商標権の確保も併せて検討すべき国です。商標出願では、韓国と同様に先行商標との抵触や識別力などの登録要件が審査されますが、出願後の異議申立て、共存同意書、登録後の使用宣言などには違いがあります。
本稿では、メキシコの商標出願手続と期間、そして韓国の出願人が特に押さえておきたい制度上の特徴を解説します。
メキシコの商標出願手続と期間
商標出願は、通常、出願 → 公告・異議申立て → 実体審査 → 登録決定・登録の順に進みます。商品・役務はニース国際分類に基づいて指定します。
(1)出願
出願前に、同一又は類似の商標が既に登録・出願されていないか確認することをお勧めします。メキシコ産業財産庁(IMPI)は、商標検索システムMARCiaや、商品・役務の分類を確認するCLASNIZAなどを提供しています。
出願では、商標の種類と指定商品・役務などを記載します。メキシコでは、通常の文字・図形商標のほか、立体商標、音商標、匂い商標、ホログラム商標、トレードドレスなども保護対象となり得ます。
(2)公告・異議申立て
出願された商標は産業財産公報に掲載され、第三者は所定の期間内に異議を申し立てることができます。
異議が申し立てられた場合、出願人は意見や証拠を提出して対応できます。異議申立てによって直ちに登録が拒絶されるわけではなく、最終的な登録の可否はIMPIの審査により判断されます。

(3)実体審査・意見提出
IMPIは、識別力、先行商標との類似性、その他の法定拒絶理由を審査します。拒絶理由や補正すべき事項がある場合、所定の期間内に意見書又は補正書を提出して対応できます。
(4)登録決定・登録
登録要件を満たすと商標が登録され、商標権が発生します。2026年4月改正の法律では、IMPIから補正の要求がなく、異議申立てもない場合、原則として出願日から最長5か月以内に出願に対する決定を行うこととされています。異議申立てや審査中の補正・意見提出がある場合、所要期間は変わります。
したがって、問題のない通常の出願では約5か月を計画上の目安とできますが、拒絶理由への対応や異議申立てが発生すると、登録までにさらに時間を要することがあります。
メキシコ商標制度の主な特徴
1.先行権利者の同意に基づく商標の共存

韓国の出願人が特に検討すべき制度の一つが、共存同意書です。
先行商標との類似が登録の障害となる場合でも、先行商標の権利者又は先の出願人から所定の要件を満たす明示的な書面による同意を取得して提出することで、両商標の共存が認められる場合があります。
2026年の施行規則では、共存同意書に両商標の営業上の出所、商品・役務、必要に応じた商品・役務の限定や対象顧客層などを具体的に定めることができます。共存による需要者の混同を防ぐ条件を盛り込める点も特徴です。
メキシコで先行商標との類似を理由に登録が難しい場合、先行権利者から共存の同意を得ることを対応策の一つとして検討できます。
2.出願後に第三者が異議を申し立てる制度
メキシコには異議申立制度があり、出願商標の公告後、第三者が登録に異議を申し立てることができます。
韓国の商標登録出願に対する異議申立てと共通する面もありますが、メキシコでは第三者の異議申立てと、それに対する出願人の応答が出願手続に組み込まれていることを理解しておく必要があります。
出願後も公報の監視を続け、異議申立てへの対応の要否を管理することが重要です。
3.登録から3年経過後の使用宣言

メキシコ商標制度で特に注意すべき要件の一つが、現実かつ有効な使用に関する宣言(Declaración de Uso Real y Efectivo)です。
2018年8月10日以降に登録された商標については、登録から3年を経過した日から3か月以内に、実際の使用に関する宣言を提出しなければなりません。
使用宣言では、商標を実際に使用している具体的な商品・役務を特定します。宣言を提出しない場合、別途の取消手続を経ることなく登録が失効することがあります。
4.商標権の存続期間と更新
メキシコの商標権の存続期間は登録日から10年で、その後も10年ごとに更新できます。更新申請は満了前6か月から可能で、満了後にも6か月の追加期間が認められます。
更新時にも、商標を実際に使用している商品・役務を申告する使用宣言が必要です。したがって、10年ごとの更新だけでなく、登録から3年経過後の使用宣言と、10年目の更新・使用宣言を併せて管理することが重要です。
メキシコの商標は登録後まで見据えた管理が必要です
メキシコへの商標出願では、登録までの手続を確認するだけでは十分ではありません。共存同意書による登録の可能性、出願後の異議申立て、登録から3年経過後の使用宣言は、韓国との制度の違いを理解するうえで重要なポイントです。
2026年4月の法改正により、出願の処理期間や手続にも変更があります。メキシコ進出を準備する企業は、出願時点の最新法令と実務を確認して商標権を管理する必要があります。
IPLEX特許法律事務所は、韓国の商標出願に加え、米国、中国、日本、欧州、中南米など主要海外市場での商標出願・登録、海外商標紛争、権利管理を支援しています。
メキシコ進出を計画している場合や、現地で使用するブランドの商標権を確保する必要がある場合は、事業計画に沿って出願国と商品・役務の範囲を併せて検討することをお勧めします。
