
1. 対象意匠と判断の結論
本件は、横断歩道などで歩行者が利用する道路施設用の日よけに関する韓国意匠登録第940180号の事件です。請求人らは、特定したスマート日よけの意匠が登録意匠の権利範囲に属さないことの確認を求めました。特許審判院は2024年10月28日、2024当842号で請求を棄却しました。
特許法院は2025年5月22日、2024ホ15578判決により審決を取り消しました。確認対象意匠は全体として異なる美感を生じさせ、権利範囲に属さないと判断しています。登録意匠そのものを無効にした判断ではありません。

2. 共通構造を出発点として評価する
両意匠には、角柱状の支柱、片持ち式の中央支持部、その両側で下向きに傾斜する日よけ、縁の案内部、二段の折り畳みアームなどの共通点がありました。しかし基本構造や複数の細部は先行意匠に示されており、公知部分の重要度は低く評価されました。
これは公知部分を比較から消すという意味ではありません。全体観察は維持されます。また、機能に関係する形状でも、同じ機能を実現する代替形状があれば、当然に重要度が低くなるわけではありません。
3. 比率と結合部が全体の印象を変えた
登録意匠は幅広い中央支持部と、それに近い幅の日よけで構成されていました。確認対象意匠は中央支持部が細長く、日よけの幅はその約3倍です。前者は中央支持部を中心に柔らかく安定した印象、後者は広い日よけを中心に細身の印象を与えました。
正面では、緩やかな曲線の浅く広い皿状の輪郭に対し、急な直線で構成される鉢状の輪郭が対比されました。確認対象の矩形の放熱部、太陽電池パネル、角張った形状は、複雑で硬い印象につながりました。アームの取付位置、下面、支柱との結合位置も、正面・平面・側面を通じて差を強めています。


4. 折り畳み可能でも展開時の比率は重要
日よけが折り畳まれることだけで、最大に展開した状態の美感の違いが打ち消されるわけではありません。その状態で現れる全体形状と各部の比率は、需要者の美感に重要な影響を与えます。
したがって、折り畳み機能や抽象的な動作構造の共通性だけで比較を終えることはできません。構成要素が組み合わさって見える具体的な外観が問題となります。
5. 審判で特定された意匠を比較する
消極的権利範囲確認審判では、請求人が特定した確認対象意匠と、登録図面に表された意匠を比較します。権利者は、実際の製品とされる写真による類似性も主張していました。
仮に実施品が、確認対象として特定されたものより登録意匠に近いとしても、別の権利範囲確認審判又は侵害訴訟で判断すべき問題です。実物写真で本件の比較対象を置き換えることはできず、市販される全ての日よけについて非侵害を確認したわけではありません。
6. 複数の図面を結び付けて説明する
登録図面、検討対象の意匠、先行意匠を整理したうえで、斜視・正面・平面・側面の各図から、比率、結合構造、視覚的な重心を対比することが有用です。
幅の比率を変えたり太陽電池を追加したりすれば必ず権利範囲外になるという基準ではありません。韓国の本件では、複数の違いが総合して全体の美感を変えたことが結論を支えています。
原図の表記と形状を保持しています。資料の内容は本文で説明しています。
