
関連意匠の登録を争った事件
韓国の関連意匠制度は、自らの基本意匠に類似するバリエーションを登録して保護する制度です。本件は、アットホーム・プレンテックが保有する生ごみ処理機の登録第1306291号意匠を対象とします。2025年3月7日に出願され、同年5月15日に関連意匠として登録されました。
基本意匠は登録第1227721号で、出願日は2023年4月24日、登録日は同年8月9日です。いずれも食べ残しを粉砕・乾燥して処理する機器に関する意匠でした。
クックー電子は登録無効を求めましたが、韓国特許審判院は2026年2月27日、2025Dang2034事件で請求を棄却しました。同社は審決取消訴訟を提起し、韓国特許法院は2026年10月7日、2026Heo10106事件の判決を言い渡しました。

争点は基本意匠との類似性
原告は、共通点はありふれた形態にすぎず、上面の操作表示部やヒンジなどの差異から異なる美感が生じると主張しました。基本意匠に類似せず、韓国デザイン保護法第35条第1項の関連意匠の要件を満たさないという主張です。
裁判所は、各部を切り離して共通点と差異点の数を比べるのではなく、外観全体から受ける美感を判断しました。支配的な特徴が類似していれば、細部に違いがあっても類似と評価され得ます。
両意匠は装飾を極度に抑えたミニマルな形態でした。そのような意匠では、全体の形状、プロポーション、シルエットが需要者の受ける印象に大きく作用するとされました。
全体の印象を形づくる六つの共通点
両意匠は縦長の柱状本体を備え、上面は両端の半円を直線で結ぶトラック状でした。正面と側面、側面と背面をつなぐ部分も、滑らかな曲面で構成されています。
上面の幅・長さと本体の高さの比率が極めて近く、正面の上部中央だけに円形操作ボタンがありました。それ以外の正面、両側面、背面に機能的・装飾的な要素を置かない点も共通しています。
さらに上面は、前方の広い開閉蓋と後方のフィルターカバーに分かれ、後方カバーは半円形で多数の細長いスリットを備えていました。裁判所は、これら六つの共通点を、製品を見ると直ちに認識される支配的な特徴としました。
上面とボタンに存在した五つの差異
登録意匠の操作表示部は、蓋・フィルターカバーと同じ高さの平坦面に配置されていました。これに対し、基本意匠では両者の間を横切るV字溝の斜面に配置されていました。
登録意匠にはヒンジがなく、基本意匠には開閉部の片側にヒンジがありました。一方、フィルターカバーの周囲のベゼルは登録意匠にはあり、基本意匠にはありませんでした。
また、登録意匠は縦スリットの間に模様がなく、基本意匠には各種の模様がありました。正面ボタンも、登録意匠では周囲より突出し、基本意匠ではやや内側に凹んでいました。裁判所は、これらを精査や意識的な並列比較で目立つ細部の差異と評価しました。

機能的な形状や公知の形状も全体の中で見る
原告は、トラック状本体、円形ボタン、半円形フィルターカバーは公知であり、重視すべきでないと主張しました。しかし裁判所は、機能的・公知の形状でも、全体の美感に実質的に寄与し需要者の注意を引けば要部となり得るとしました。先行意匠1~6は本体の比率・輪郭・曲面に別の選択肢があることを示していました。
先行意匠7~12では、ボタンの大きさや位置、周囲の要素が異なっていました。本件の滑らかで装飾のない面では、正面上部中央の円形ボタンが視線を集めます。その形や位置は機能上不可避の選択ではありませんでした。
先行意匠13~15は、後方フィルターカバーにも別の形態があることを示しました。本件の半円形カバーは上面を前後に分け、縦スリットが視覚的なアクセントをつくります。単なる機能部品として、その美感への寄与を無視することはできませんでした。



使用時に目につくという主張でも結論は変わらず
原告は、蓋やフィルターカバーを頻繁に開閉するため、上面の細部に注意が向くと主張しました。裁判所も表示部やヒンジが使用中に認識されやすいことは考慮しましたが、差異が上面全体に占める割合は大きくないとしました。
その差異は、共通する外観、比率、シルエットから生じる類似した美感を変えるほどではありませんでした。登録意匠は基本意匠と類似すると判断されました。
裁判所は第35条第1項違反を認めず、無効審判請求を棄却した審決を正当として、クックー電子の請求を棄却しました。登録を争う請求に対する判断です。
変更の位置・大きさ・効果を併せて説明する
関連意匠の出願では、変更箇所だけを示す資料では説明が足りないことがあります。維持された共通点と変更の位置・大きさ、それが全体の印象に及ぼす効果を、複数方向の図面で整理することが有用です。
登録を争う場合も、単に機能的・ありふれた形態と述べるのではなく、他に採り得る形状や具体的な比率・配置を示す必要があります。本件の先行意匠は、似た要素でも組み方によって印象が異なることを説明する資料となりました。
本判決は、ヒンジやボタンの差異が常に重要でないとしたものではなく、他社製品の侵害を直接判断したものでもありません。何が変わったかと、その後も残る全体の姿を併せて見ることが重要です。
原図の表記と形状を保持しています。資料の内容は本文で説明しています。
