
登録無効審決を取り消した判決
韓国特許法院は2026年7月16日、2026Heo10018事件で、苗木表示棒の登録意匠第1046545号を無効とした特許審判院の2025Dang301審決を取り消しました。出願日は2019年7月30日、登録日は2020年2月14日です。
この棒は植えた苗木の位置や種類を示すために用いられます。争点は、通常の知識を有するデザイナーが先行意匠から登録意匠を容易に創作できたかという点でした。競合品の侵害の有無を判断した事件ではありません。
実線で示された部分を比較の起点にする
本件は上部の実線部分を対象とする部分意匠です。破線部分は登録対象に含まれません。そのため、先行意匠1についても対応する上部を比較し、下部の埋設部分やくさび状部分は考慮されませんでした。
先行意匠1は長い棒に塗料、色付きテープ又はリボンで表示部を設けるものでした。基本構成は共通しますが、そこから登録部分の具体的な外観に容易に至るかが検討されています。

背面を判断対象から除外できない理由
韓国デザイン保護法33条2項は、公知の意匠や周知の形態から容易に創作できる意匠を登録対象から除きます。差異を認定するだけでなく、その差異を容易に生み出せる根拠も必要です。
被告は正面と左側面を中心に比較すべきだと主張しました。しかし、植林地に設置された表示棒の背面は通常の使用時にも十分認識できます。図面の各外観的特徴は創作の成果であり、その一部を創作容易性の判断から恣意的に除外することはできないとされました。

縦の露出部と上下の帯が生む美感
背面では布の両端の間から竹の本体が縦長に露出します。布と竹の対比が縦方向の分節感を生み、長い軸を強調していました。先行意匠1には対応する露出部がありません。
表示部の上下には結び目のない環状の帯が配置され、上端と下端を区切り、比例感と分節感を形成します。一つの面として見える先行意匠1とは美感が異なるため、単なる美的価値のない機能的変更とは評価されませんでした。
他の物品から組み合わせる動機はあるか
先行意匠3は養殖場の浮標であり、外側に突き出した旗、上部の環、下部のワイヤを備えていました。本体を包み込む表示部とは造形上の関連性が乏しく、塗料だけでも表示できる先行意匠1に環だけを取り出して付加する特別な創作動機は見いだせませんでした。
先行意匠4~7は樹木の保温材や害虫捕獲用の巻き材をひも又は帯で結束したもので、4と5には結び目もあります。これらの資料だけでは、背面の露出部と上下の結び目のない帯を組み合わせた表現が、この分野でありふれていたとは認められませんでした。

156件の出願と、判断されなかった差異
権利者が苗木表示棒について156件出願していたことも、それだけで創作水準の低さを示すものではありません。単純な形態の物品では、一見小さな変更でも美的価値に相当の差を生じさせ得るとされました。
法院は露出部と環状の帯に関する二つの差異で結論を導きました。表示部上方の空間と、平面視の同心円という残る二つの差異については判断していません。四つの差異それぞれに創作性を認めた判決と理解するのは正確ではありません。
比較資料を組み立てる際の着眼点
まず実線と破線から登録対象を特定し、正面だけでなく背面・側面の特徴が面の区画や比例、全体の印象にどう作用するかを説明します。基本構成の共通性だけで判断を終えるべきではありません。
無効理由の立証責任は無効審判請求人にあります。他の物品に環や結束部があることに加え、それらを組み合わせて本件の露出部と帯の配置に至ることが容易である理由を、資料で具体的に示す必要があります。以上は韓国の本判決から得られる実務上の視点です。
原図の表記と形状を保持しています。事件の事実関係と裁判所の判断は本文で説明しています。
