
SNC商標の不使用取消事件
韓国弁理士の金容徳が解説する韓国特許法院2026年7月23日判決(2025Heo10607)は、輸出申告書と商品写真を一体として評価する重要性を示しています。対象は登録第1118080号のSNC商標で、指定商品には自動車の部品及び附属品が含まれていました。
2024年2月26日、請求日前の継続する3年間に韓国内で使用されていないとして取消審判が請求されました。特許審判院は2025年10月24日、提出証拠では使用を認めるに足りないとして取消審決(2024Dang584)をしました。商標権者は特許法院に審決取消訴訟を提起しました。

個人所有の商標を会社が使用した場合
商品を取り扱っていたのは、個人である商標権者が代表取締役を務めるSkai B社でした。相手方は、個人と会社の法人格が異なる以上、会社の行為を商標権者又は使用権者による使用と評価することはできないと主張しました。
法院は、通常使用権の許諾に必ずしも書面や特定の方式は必要なく、当事者の行動から黙示の合意が認められる場合もあるとしました。商標権者が2011年9月24日から継続して会社を経営していたことなどから、同社は少なくとも黙示の許諾を受けた通常使用権者に当たると判断しました。系列会社や取引先すべてへの許諾を当然に認める趣旨ではありません。
商品番号、包装箱、輸出書類の対応関係
会社のウェブサイトには、サーモスタット、後退灯スイッチ、CVジョイントキットが商標付きの箱とともに掲載されていました。例えばスイッチの品番938604A010は、掲載写真と輸出申告書を結び付ける手掛かりとなりました。具体的な輸出による使用の認定は、サーモスタットや後退灯スイッチ等の自動車部品についてされたもので、写真に写る全商品についての認定ではありません。
さらに、商標が印刷された箱を2021年5月12日に12,000個、2023年12月4日に12,200個納入した記録がありました。輸出申告書には2022年3月25日、2023年5月18日及び10月18日のベトナム向け輸出が記録され、併せて輸出されたスイッチの現地通販での販売も確認されました。海外の販売画面だけでなく、国内の包装箱の納入等を含む証拠のつながりが評価された点が重要です。


輸出が韓国内の使用と認められた理由
相手方は、無印の商品を輸出して現地で商標を付した可能性や、注文者の商標による輸出の可能性を指摘しました。しかし裏付けとなる資料はなく、箱の全体形状や商標の表示位置も踏まえ、法院はこの主張を採用しませんでした。
資料を総合すると、商標付きの箱に収めた自動車部品を譲渡目的で輸出したと認められました。本件に適用された韓国法の使用の定義には、商標を付した商品又は包装品を譲渡目的で輸出する行為も含まれます。買主が国外にいることだけで韓国内の使用が否定されるわけではありません。

赤色の濃淡と認定の射程
実使用標章は赤色部分の彩度がやや低いだけで、その他の図形と文字の構成は同じでした。法院は取引通念上同一の商標と評価しました。これは本件の限定的な色の差に関する判断であり、文字や図形を自由に変更してよいという意味ではありません。
特許法院は、請求日前3年以内に通常使用権者による韓国内の正当な使用があったとして、2024Dang584審決を取り消しました。適用条文上、請求対象の指定商品の一つについて使用が立証されたため、この取消請求により登録全体を取り消すことはできないとしました。すべての指定商品について個別に使用が確認されたという判断とは区別する必要があります。

証拠は相互に結び付く形で保存する
輸出による使用を立証するには、誰が、いつ、どの商品に、どの商標を付して取引したかを説明できる資料が必要です。商標と商品が同時に写る写真、印刷内容と日付の分かる包装箱の発注・納入記録、対応する品番を確認できる取引書類や輸出書類を整理しておくことが有用です。
代表者個人の商標を会社が使用する場合には、対象商標、商品、期間、使用主体を書面にしておくことが望まれます。黙示の許諾が成立し得ることと、紛争時にそれを容易に立証できることは別問題です。資料の量だけでなく、一連の取引を説明できる整合性が大切です。
原図の表記と形状を保持しています。事件の事実関係と裁判所の判断は本文で説明しています。
