
判断対象は訂正後の発明
韓国大法院は2025年9月25日、2025Hu10169事件で上告を棄却しました。曲面カバー保護フィルム、その貼付装置及び方法に関する登録無効事件です。無効審判請求は認められず、特許法院も2025年2月13日の2021Heo4638判決で審決取消請求を棄却していました。
対象は特許審判院2023Jeong(取消判決)2号の訂正審決による訂正後の発明でした。請求項は保護を求める技術的構成を定めるため、訂正前の文言による比較では判断対象を取り違えます。まず有効な訂正文言を確定する必要があります。
出願時の技術的状況を再構成する
大法院は、証拠に基づき先行技術の範囲と内容、対象発明との相違点、当業者の技術水準を把握し、出願当時に当業者が相違を容易に克服できたかを検討すべきとしました。
相違があるだけで進歩性が肯定されるわけでも、各部品が公知であるだけで否定されるわけでもありません。明細書を正解として先行資料を組み直す後知恵は許されません。仮に装置Aと部品Bを組み合わせる例なら、両者の存在だけでなく、その結合に当時容易に至った理由を示す必要があります。この例は実際の請求項の構成を示すものではありません。
訂正請求項についての判断
特許法院は訂正請求項1と先行発明6及び1との相違点を認定し、先行発明6・8、又は1・4・5・8によって容易に解消できないと判断しました。そのため請求項1及びこれを直接・間接に引用する請求項3・4・5・7の進歩性は否定されませんでした。
大法院は原審の理由付けに一部適切でない点を指摘しつつ、請求範囲の解釈や進歩性判断に結論を左右する誤りはないとしました。原審の全ての説明を承認したわけではありません。また、製品分野全体の進歩性や、類似製品すべての侵害を認めた判決でもありません。
容易に発明することと、容易に実施すること
韓国特許法42条3項1号は、当業者が発明を容易に実施できる程度に、明確かつ詳細な説明を求めます。特許法院はこの記載要件を満たすと判断し、大法院も結論に影響する誤りを認めませんでした。
進歩性は発明を知らない出願時の技術から容易に導けたかを問い、実施可能性は発明を教えられた当業者がそれを実現できるかを問います。明細書を読めば実施できることと、開示前にも容易に思い付けたことは別です。
無効分析と出願準備への示唆
訂正後の独立請求項から対比表を作り、従属請求項の引用関係を整理します。無効主張では資料の数よりも、各構成の根拠と相違点を当時克服できた理由が重要です。権利者側も単に「違う」と述べるのではなく、その技術的な困難を説明する必要があります。
進歩性と記載要件の主張・証拠は分けて準備します。出願時から課題、具体的構成、動作を対応させ、請求項の確定、先行技術の認定、出願時点での相違点評価、実施可能性の確認という順序を守ることが有用です。
原図の表記と形状を保持しています。事件の事実関係と裁判所の判断は本文で説明しています。
