
Jean-Baptiste商標の登録無効をめぐる争い
韓国特許法院の2025年9月25日判決(2025Heo10280)は、ライオン図形とJean-Baptisteの文字を組み合わせた登録第1468035号を扱いました。2015年12月7日出願、2019年4月9日登録決定、翌10日登録で、第28類のゴルフクラブ、バッグ、手袋等が指定されています。
原告の一社は2014年頃から先使用商標を付したゴルフ用品を製造・販売し、もう一方の原告は韓国に輸入していました。2023年4月に無効審判を請求しましたが、特許審判院は先使用商標の認知度の立証が足りないとして2025年1月14日の2023Dang1478審決で請求を退けました。法院はこれと異なる結論を示しています。


基準は出願当時の外国での出所認識
韓国商標法第34条第1項第13号は、韓国又は外国の需要者が特定の者の商品を示すものと認識する商標と同一・類似の商標を、不正の目的で使用する場合を対象とします。本件の基準日は2015年12月7日です。後年の知名度だけで出願当時の要件を当然に満たすわけではありません。
出願は2016年改正前ですが、登録決定が2019年であるため、法院は経過規定に従って同号を適用しました。日本のゴルフ需要者の認識が判断資料となり、韓国国内で広く知られていたことを別途確定する必要はないとされています。使用、広告、取引の各証拠が総合評価されました。
商標・商品・事業者を結ぶ広告資料
法院は、日本のゴルフ専門誌Choice及びEVENに掲載された2015年の広告を検討しました。当時の発行部数はそれぞれ約9万5千部、約10万部です。広告には商標を付した商品と会社のウェブサイトが掲載され、単に広告費を支出しただけでなく、読者が原告の商品と結び付けられる内容でした。
2015年のゴルフ大会、支援を受けたプロ選手による用品の使用、Facebookやウェブサイトの公開された日本語投稿も考慮されました。多数の投稿には商標の付いたクラブの写真があり、日本の約60の取引先と2015年までの約1億1千万円の売上が取引実態を裏付けています。
これらを合わせ、出願当時、先使用商標1は少なくとも日本の需要者に特定の出所を示すものと認識されていたと判断されました。後から知名度を述べるだけでなく、標章、商品、供給者の関係を日付のある資料で示すことの重要性が分かります。
不正の目的を認めた事情
登録商標と先使用商標1は、図形と文字の組合せ、称呼、意味が同一で、ゴルフクラブという商品も同一でした。被告が独自に標章を考案・開発したことを示す資料はありませんでした。法院は、原告側の商標と同一・類似の他の商標も被告が出願・登録していた事情を考慮しています。
これらから、先使用商標の信用に便乗して不当な利益を得たり、権利者の営業を妨げたりする不正の目的が認められました。法院は無効理由があるとして請求棄却審決を取り消しました。結論は先使用商標1との関係に基づき、先使用商標2を含む残りの無効理由については判断していません。
出願前の資料を時系列で整理する
韓国の登録調査と海外での実際の使用調査は、それぞれ別の問題に答えるものです。名称やロゴを選ぶ際は、国内に同じ登録があるかに加え、海外で既に使用されていないかを確認する必要があります。先使用者は、相手の出願日を軸に広告、刊行日、商品写真、取引先及び販売資料を整理するとよいでしょう。
独自に商標を開発した場合は、命名過程、デザイン案、事業準備資料を残すことが有用です。本件で開発資料の欠如が考慮されたからといって、それだけで不正の目的が自動的に成立するわけではありません。海外で形成された信用と標章選択の経緯をめぐる争いは、出願の先後だけでは決まりません。
原図の表記と形状を保持しています。資料の内容は本文で説明しています。
