
争われた登録と審判の経緯
韓国特許法院2026年4月23日判決(2025Heo10516)は、第5類の栄養補助食品など15商品を指定するKAHI商標を扱った事件です。2021年5月18日に出願され、2023年12月15日に登録査定、2024年1月4日に第2135127号として登録されました。原告は、先行するハングル表記と欧文字表記の登録第1656598号・第1739232号を、2020年4月頃から化粧品に使用していました。
特許審判院は2025年7月30日、無効審判請求を棄却しました(2024Dang1198)。これに対し法院は、韓国商標法34条1項12号後段の需要者を欺瞞するおそれを認めました。商品の類否と、同一の事業者の商品だと誤認する可能性とは、区別して検討されています。

認識の基準時と証拠
基準時は出願日ではなく、登録査定日の2023年12月15日です。先使用商標が特定の出所を示すものとして国内の需要者・取引者に認識されていることが必要ですが、全国的な著名性まで要求されるわけではありません。使用期間、方法、態様、範囲と取引の実情が判断材料となります。
25作品のドラマへの商品露出、約130人のブロガーを通じた宣伝、発売から約1年半で1,000万個を超えた販売などが検討されました。対象商品は2021年の原告売上高2,500億ウォンの約80%を占め、広告宣伝費は約496億ウォンでした。過去の規模だけでなく、その後も販売・広告を継続して認識が維持された点が重視されています。
非類似商品でも生じ得る出所の誤認
化粧品と栄養補助食品は、用途や形態から同一・類似の商品とは認めにくいとされました。他方、欧文字商標は書体以外が実質的に同一で、ハングル商標とも称呼が共通し、両表記を併記した使用もありました。
美容・健康という目的、化粧品企業による補助食品分野への進出、インターネットやドラッグストアでの販売、ビタミン・ミネラル・コラーゲン等の成分の共通性が、経済的な関連性を裏付けました。この取引環境では、補助食品を化粧品ブランドの事業展開と受け取る特別な事情があると判断されています。
判決の射程と実務への示唆
法院は無効理由を認め、請求棄却の審決を取り消しました。34条1項7号・9号・11号・13号、35条1項の他の主張は別途判断していません。類似する名称が別の商品区分にあれば常に無効になる、という判決ではありません。
採用前調査では区分番号に加え、実際の事業展開や販路を確認することが有用です。標章、商品、売上、広告、流通を基準時に結び付ける資料を残し、なぜ同じ出所と理解されるのかを具体化する必要があります。商品分野の違いだけでリスクを判断することはできません。
原図の表記と形状を保持しています。事件の事実関係と裁判所の判断は本文で説明しています。
