
ロールコーティング装置をめぐる争い
韓国大法院は2022年11月17日、2019Hu11268事件で上告を棄却しました。ディーケーティーは、ピーエヌティーが2006年9月21日に出願したロールコーティング装置について、他人の発明を無断で利用したとして特許無効を主張しました。特許を受ける権利の帰属に加え、新規性・進歩性も別の争点となりました。
特許を受ける権利と立証責任
本件に適用された韓国旧特許法33条1項、133条1項2号では、発明者又は適法な承継人が特許を受ける権利を有し、無権利者が取得した特許は無効事由となります。発明者とは、技術的思想を創作する発明行為を実際に行った者です。発明者と出願人が異なるというだけで冒認出願になるわけではなく、権利の承継も確認する必要があります。
無権利者による出願を理由とする無効審判及びその審決取消訴訟では、無効を主張する当事者が当該事由の立証責任を負います。これは、事実が十分に証明されない場合に誰が不利益を負うかという問題です。似た技術の存在だけでは結論は出ません。
独自開発と技術を知った時期
出願前に、ある製作所が共同特許権者のミレナノテックへ先行発明2を提供していました。大法院は、本件発明がその技術と実質的に同一と評価される余地を認めました。一方、本件発明は従来のマスターロール方式の問題に対し、マスターシート方式のマスター部と3組の塗料供給部を導入した点に特徴がありました。
原告がミレナノテックから技術を受領したとしても、それ以前にマスターシート方式のマスター部を備えた装置を独自に完成させていました。また、出願前に先行発明2の内容を知っていたと断定できる証拠も不足していました。共同権利者への提供と、出願人自身の出願前の認識は別の事実です。提出資料から先行発明1又は2の無断模倣は証明されませんでした。
新規性・進歩性の判断は別途行われた
原審は、先行発明1、2が出願前に韓国内で公知又は公然実施されていたとは認め難く、国内で公知だった先行発明3によっても新規性・進歩性は否定されないと判断しました。大法院はこの判断も維持し、上告を棄却しました。国内公知・実施に関する検討は本件の旧法を前提とするもので、現在の先行技術を国内資料に限定する趣旨ではありません。
開発記録と提供記録を分けて整理する
共同開発や外注製作では、日付のある設計図、試験記録、修正履歴を通じて、誰がどの構成をいつ完成させたかを説明できるようにします。中核構成の完成と後日の追加変更は区別して記録します。同じ技術資料を保有していることと、発明を完成させたことは同じではありません。
提供側は、資料の具体的内容、相手方、提供日、権利帰属・承継に関する合意を残すことが重要です。無効を主張する側は技術内容、出願前のアクセス、権限の欠如を証拠で結び付け、対応する側は独自開発の内容と時系列を示す必要があります。技術の共通性、資料の保有、特許を受ける権利は、それぞれの証拠に即して検討すべき事項です。
原図の表記と形状を保持しています。事件の事実関係と裁判所の判断は本文で説明しています。
